大学帰りの夕方、駅前の本屋で何気なく立ち寄った僕は、隣で立ち読みをしている女性にふと目を奪われた。
艶やかな黒髪がさらさらと肩にかかり、派手さはないけれど、その落ち着いた雰囲気には目を引く何かがあった。
彼女は文庫本のページをめくる手を止め、ふと顔を上げた。
その瞬間、黒い瞳が僕と交わり、心臓が一拍跳ねる。
「……あ、すみません。」
慌てて目を逸らした僕に、彼女は少し驚いたような表情を見せたが、すぐに柔らかく微笑んだ。
「何か、面白そうな本でも探してるの?」
落ち着いた声が、静かに僕の胸に響く。
「え、あ、いや……ただ何となく寄っただけで。」
ぎこちなく返事をする僕を、彼女はちらりと横目で見ながら、手にしていた本をそっと棚に戻した。
「ふふ、そう。なんとなくね。」
言葉にできない空気が流れる中、彼女はゆっくりと自分の鞄を肩に掛けながら、目を細めた。
「こんな時間に本屋にいる人って、どこか疲れてる人が多い気がするわ。」
「え、そうなんですか?」
「なんとなくね。……あなたも、そんな風に見えたの。」
その穏やかな声に、なぜか胸の奥に触れられるような気がした。
彼女の瞳がどこか優しくて、嘘のつけない雰囲気を醸し出している。
「僕、そんな疲れてる顔してました?」
つい笑いながら聞くと、彼女も微かに笑みを返した。
「ううん。でも、少しだけ気になったの。なんだか元気がないように見えたから。」
言いながら、彼女はゆっくりと外を見た。夕暮れの赤い光が窓から差し込み、その横顔を照らしている。
「ねえ、少しお茶でもしない? こうして偶然会ったのも何かの縁だし。」
その誘い方は、まるで前から僕たちが知り合いだったかのように自然だった。
「お茶ですか?」
「そう。疲れてる人には、甘いものが効くのよ。」
いたずらっぽく笑う彼女に、僕は断る理由を見つけられなかった。
近くの静かなカフェは、木目調のインテリアと柔らかな照明が心地よい空間だった。
客も少なく、静かに流れるジャズが店内を包んでいる。
僕たちは窓際の席に腰を下ろし、それぞれカフェオレとチーズケーキを注文した。
「ここ、よく来るんですか?」
目の前のカップを手に取る彼女に問いかけると、彼女は小さく頷いた。
「うん。ここ、落ち着くでしょ? あまり知られていないけど、それがいいの。」
彼女の言葉に、確かにそうだと思った。
駅前の喧騒からは想像もつかないほど、このカフェは穏やかだ。
「確かに。静かでいいお店ですね。」
そう答えると、彼女は少し驚いたように僕を見つめた。
「あなた、意外と真面目なのね。」
「え、そうですか?」
「うん。さっきも本屋でそう思ったの。きっと、物事を深く考えたりするタイプでしょ?」
不意にそんなことを言われ、僕は少し照れくさくなった。
普段、自分の性格を人に指摘されることなんてあまりないからだ。
「いや、どうでしょう。あまり自分では分からないですけど。」
彼女はふっと笑みを浮かべた後、少し視線を下に落とした。
「……私、こう見えても、あんまり人と話すの得意じゃないの。でも、今日は話したい気分だったみたい。」
その言葉には、どこか寂しさが滲んでいた。
「そうなんですか。でも、なんだか話しやすいですよ。」
僕がそう言うと、彼女は少し驚いたように顔を上げ、柔らかく微笑んだ。
カフェでの時間は、不思議なくらい自然に過ぎていった。
仕事の話や趣味の話、些細なことを話しているうちに、僕は次第に彼女の穏やかな雰囲気に惹かれていく自分に気づいた。
店を出る頃には、すっかり外は暗くなっていた。
街灯の明かりに照らされた彼女の横顔は、どこか遠い世界を見ているように見える。
「今日は付き合わせちゃってごめんなさいね。」
駅へ向かう道すがら、彼女がふと口を開いた。
「いや、全然。むしろ楽しかったです。」
そう答えると、彼女は少し考えるようにしてから、意外な言葉を口にした。
「……ねえ、このあと、少しだけ私の部屋に寄らない? お礼と言うか……なんとなく、まだ話したい気分なの。」
驚いたけれど、断る理由は見つからなかった。
むしろ、その誘いにはどこか心惹かれるものがあった。
「お邪魔じゃないですか?」
そう聞くと、彼女は優しく笑った。
「ううん。あなたなら、大歓迎よ。」
その笑顔につられるようにして、僕は彼女の後をついて行った。
駅から10分ほど歩いたところに、彼女の住むマンションはあった。
新築のようだが、まだ真新しさが漂っている。
オートロックのエントランスを通り抜けると、彼女は慣れた手つきでエレベーターのボタンを押した。
「……ここ、一人で住んでるんですか?」
思わずそう聞くと、彼女は少し驚いたように僕を見た。
「あら、気になる?」
いたずらっぽく笑いながら言われ、僕は思わず目を逸らした。
「……そりゃまあ、少しくらいは。」
そう答えると、彼女はまた小さく笑った。
エレベーターが開き、僕たちは静かに乗り込んだ。部屋の前に着くと、彼女は鍵を差し込みドアを開けた。
「どうぞ。入って?」
彼女に促され、僕は部屋の中へと足を踏み入れた。
中は広々としており、洋風の家具がセンス良く配置されている。
「いい部屋ですね。」
素直にそう言うと、彼女は嬉しそうに笑った。
「ありがとう。適当に座ってて?」
キッチンへ向かう彼女を見ながら、僕はソファーに腰掛けた。
大人二人が座れるほどの大きなソファーは、柔らかく僕を包み込んだ。
「コーヒーでいい? それとも紅茶にする?」
キッチンから掛けられた声に、僕は少し考えてから答えた。
「じゃあコーヒーでお願いします。」
僕がそう答えると、彼女は小さく笑った。
「分かったわ。すぐに用意するわね。」
しばらくすると、彼女がマグカップを二つ持って戻ってきた。
湯気と共に立ち上る香りが、疲れた心を癒してくれるようだ。
「はい、どうぞ。」
差し出されたカップを受け取り、一口飲むと心地よい温かさが身体に染み渡った。
「美味しいです。」
素直な感想を口にすると、彼女は少し照れたように笑った。
「ふふ、良かった。」
それからしばらくの間、僕たちは無言でコーヒーを飲んでいた。
「……ねえ、一つお願いがあるんだけど、聞いてくれる?」
ふいに彼女が口を開いたのは、ちょうどコーヒーが無くなった頃だった。
僕はマグカップを置きながら尋ねた。
「何ですか?」
少し恥ずかしそうな顔で、彼女は答えた。
「………おちんちん、見せてくれない?」
一瞬、何を言われたのか理解できなかった。
僕は思わず聞き返した。
「え?」
彼女は少し拗ねたように僕を見ると言った。
「だから!あなたのおちんちん見せてって言ってるの!!」
ますます混乱する僕に構わず、彼女は続けた。
「私ね、男の人がオナニーするところ見るのが好きなの。でも今までそういう機会になかなか恵まれなくて……ねえお願い!」
そんな切実そうな目で見られても困るのだが……しかし彼女の目は本気だった。
「……分かりました。」
こうなったらもう仕方がないだろう。
彼女は嬉しそうに微笑むと、早速僕の足元に座り込んだ。
そして慣れた手つきでベルトを外し始める。
その仕草はとても手慣れていて、彼女の経験豊富な様子がうかがえた。
やがてチャックを下げ、パンツをずり下ろすと、そこにはすでに少し硬くなった僕のモノがあった。
「……本当にオナニーしますからね?」
念のためもう一度確認するが、彼女の目は期待に輝いていた。
「うん! むしろそれが見たいの!」
そう言って彼女は、まるで子供のように僕のモノをキラキラした目で見つめる。
期待に応えるように僕はオナニーをし始めた。
最初はゆっくりと、しかしすぐに手の動きが速くなる。
「すごい……本当にしてるのね……」
彼女は感心したように呟くと、さらに顔を近づけてきた。
吐息がかかるほどの距離だ。
彼女の視線に興奮を覚えながら、僕は絶頂へと上り詰めていく。
大量の精子が勢いよく飛び出すタイミングで彼女が僕のモノを咥える。
「うわっ!」
突然の快感に思わず声が出る。
彼女の舌が僕の亀頭を舐め回す感触に、腰が抜けそうになるほどの快感を覚えた。
そのまま尿道に残った精子を吸い出した後、ようやく口を離してくれた。
その唇は艶かしく光っている。
「すごく良かったよ!ありがとう!」
彼女が少し照れたように言うのを聞きながら、僕はズボンを整えようとした時、彼女が言った。
「……ねえ、もう一回見せて?」
「え?」
「もう一回!」
「いや、さすがに二回もは……」
断ろうとする僕の言葉を遮るように彼女は続けた。
「お願い! 今度は私がしてあげるから!」
彼女は僕のを咥えながら、自らの秘所に手を伸ばしている。
どうやらオナニーを始めたようだ。
その淫靡な光景に、僕は再び興奮を覚え始めていた。
それに気づいたのか彼女はさらに激しく指を動かす。
「ほら、見て?」
彼女の視線は僕のモノに向けられている。
その視線に誘われるように、僕はまた勃起してしまっていた。
「あぁ、素敵……」
彼女はうっとりとした表情で呟き、僕のモノをしゃぶり続ける。
彼女の口の中はとても温かくて柔らかく、まるで膣内にいるような錯覚を覚えるほどだ。
舌使いも巧みで思わず腰が浮いてしまうほどの快感に襲われる。
そして同時に彼女もまた自らの秘部を弄っていた。その指の動きはどんどん激しくなっていく。
「イクっ!」
ついに限界に達した僕は彼女の喉奥に向かって思い切り射精した。
それと同時に彼女も大きく体を痙攣させる。
どうやら絶頂を迎えたようだ。
「はぁ……すごい量……」
彼女は満足げに微笑むと、ゴクリと音を立てて僕の精液を飲み下していく。
ふぅ……と落ち着くと、彼女は話し始めた。
「私ね、男の人がオナニーしてるのところを見ると自分のオナニーを見せるのが大好きなの。」
そう言って彼女は笑った。
「あなた、他の人ともこんなことしてるの?」
僕は小さく首を振り、答えた。
「いえ、今日が初めてです。」
「そう、なら良かった! また見せてね!」
その無邪気な様子に、僕も自然と笑みがこぼれたのだった。
ーー数日後、駅前の本屋で彼女と再び会った僕は、なんともいえない居心地の悪さを感じていた。
理由は簡単だ。
「ねえ、この前のお願い、忘れてないよね?」
彼女が少し悪戯っぽく目を細めて笑う。
「いや……正直、忘れたいんだけど。」
「じゃあ、今日も見せてもらっちゃおっかな♪」
それからの日々は一緒に本屋へ行ったり、カフェへ行ったり、オナニーを見せあったり……奇妙だが楽しい時間だった。
僕たちの距離は少しずつ近づき始めた。
変わった彼女と普通な僕。
きっと、この先もおかしな事件が起きるんだろう。
でも、それが僕には心地よかった。
おわり
コメント