夜のパリ、煌めくエッフェル塔を背景に、ジェームズ・レイノルズは冷静に任務の準備を進めていた。
世界最高峰のスパイとして知られる彼の眼差しは鋭く、まるで全てを見通すかのようだった。
「今回の相棒は、新人だ。」
耳に響く上司の声を思い出すと、ジェームズは思わずため息をついた。
何も知らない新人を引き連れての任務など、時間の無駄に思えたからだ。
しかし、命令は命令。彼はホテルのロビーで指定された時間に相棒と待ち合わせることにした。
「こんにちは!ルーシー・ハーパーです!」
ロビーに現れたのは、見るからに浮かれた様子の若い女性だった。
彼女は明るい笑顔で手を差し出し、ジェームズは困惑しながらも握手した。
「ジェームズ・レイノルズだ。」
「わあ、本物のスパイみたいですね!」
ルーシーは目を輝かせ、まるで映画の主人公に会ったかのように感動している。
ジェームズは内心で頭を抱えた。
今回の任務は、国際的な犯罪組織が開催する秘密のオークションに潜入し、盗まれたマイクロチップを回収することだった。
会場は豪華なパーティーホールで、ジェームズは洗練されたタキシード姿で現場に向かった。
一方、ルーシーはというと――
「これでいいですか?」
ジェームズが振り返ると、彼女は赤いドレスを着て登場した。
そのデザインは悪くないが、歩くたびに裾が引っかかり、彼女は何度もつまずいていた。
「ルーシー、まずは落ち着いて。目立たないようにしろ。」
「目立たない?わかりました!」
そう言うや否や、彼女は突然、壁際にピタリと張り付いた。
彼女なりの「目立たない」努力らしいが、逆に不自然で、周囲の視線を集めてしまう。
パーティー会場では、ジェームズが交渉と情報収集を進めていた。
彼のセクシーな微笑みと低い声は、ターゲットを惹きつけ、計画通りに任務を進めるはずだった。
しかし、ルーシーは――
「このカナッペ、美味しい!」
ターゲットに接近するどころか、豪華なビュッフェテーブルで料理を堪能していた。
彼女が一口かじるごとに、皿の上の食べ物が崩れて床に落ち、そのたびに周囲の人々が注目する。
「ルーシー!」
ジェームズは低く呼びかけたが、彼女は聞こえないふりをして、さらに新しい料理に手を伸ばした。
「すみません、彼女は少し緊張しているだけです。」
ジェームズは場を取り繕おうとしたが、その時、ルーシーが近くのウェイターにぶつかり、トレイが宙を舞った。
驚いたことに、そのトレイの上に載っていたシャンパングラスがターゲットの手元の書類に直撃。
書類は濡れて使い物にならなくなり、ターゲットは混乱した様子で退出していった。
「成功しましたね!」
ルーシーは無邪気に微笑みながら言ったが、ジェームズはただ無言で額に手を当てた。
次のステージは、プライベートルームでターゲットと接触し、マイクロチップの取引を阻止すること。
ジェームズは計画を練り直し、セクシーな雰囲気でターゲットを魅了する作戦を立てた。
「ルーシー、何があっても口を閉じていてくれ。」
「はい!」
ルームに入ると、ジェームズは低い声でターゲットに挨拶をした。
だが、その時――
「セクシーって、こういうことですか?」
ルーシーが突然、大袈裟なポーズを取りながら部屋に滑り込んできた。
その結果、彼女のヒールが絨毯に引っかかり、派手に転倒。
ターゲットは驚きで警戒心を失い、ジェームズはその隙を逃さず、マイクロチップをすり替えることに成功した。
「いい仕事だったぞ、ルーシー。」
「本当ですか?!」
ジェームズは深いため息をつきながら、彼女の純粋さと不器用さが結果的に任務を成功に導いたことを認めざるを得なかった。
任務を終えてホテルに戻った二人は、ようやく一息つける時間を手にしていた。
ルーシーは、豪華なスイートルームのソファに飛び込み、解放感に満ちた表情でため息をついた。
「ジェームズ、今日は本当に楽しかったです!」
「楽しかった?」
ジェームズは驚いたように眉を上げた。彼にとっては疲労の連続だったが、彼女にとってはすべてが新鮮でエキサイティングだったらしい。
「はい!だって、あんなに緊張感があって、スリル満点で……それに、ジェームズと一緒に仕事ができるなんて、夢みたいです。」
ルーシーの瞳は純粋な尊敬と感謝で輝いていた。
その視線に、ジェームズは一瞬言葉を失った。
彼女の不器用さに苛立ちながらも、その裏に隠された純真さと熱意に、次第に心を動かされている自分に気付いたのだ。
「お前は、変わってるな。」
「え?」
ジェームズは軽く笑いながら、スーツのネクタイを緩めた。そして、少しリラックスした声で続けた。
「俺が今まで組んできた相棒の中で、一番奇妙で、一番……面白い。」
その言葉に、ルーシーは頬を赤らめた。
「それって、褒めてます?」
「どう思う?」
二人の間に漂う空気が、いつの間にか柔らかく、そしてどこか甘いものに変わっていた。
ジェームズが無意識に彼女へと一歩近づくと――
突然、ルーシーがソファから滑り落ち、大きな音を立てて床に転がった。
「痛っ……あれ?またやっちゃいました!」
彼女は笑顔で頭を掻きながら立ち上がろうとしたが、ジェームズがすばやく手を差し伸べた。
その拍子に二人の距離が一気に縮まり、彼女の顔が彼の胸元に埋まる形となった。
「お前、本当に注意力がないな。」
彼の呆れた声に、ルーシーは照れ隠しのように小さく笑った。
「でも、ジェームズが助けてくれるから安心です!」
その無邪気な言葉に、ジェームズの目が一瞬だけ柔らかさを帯びた。
彼は彼女を見下ろしながら、ふと手を離さずにいる自分に気づいた。
「……次はもっと気を付けろ。」
そう言いながらも、彼は彼女の頬にかかる髪をそっと払った。
その仕草が思いのほか自然だったため、ルーシーは一瞬だけ戸惑ったように目を見開いた。
「あの、ジェームズ……?」
二人の間に漂う緊張感が、一転して新たな感情へと変わり始める。
ジェームズは彼女を抱きかかえるとそのままベッドへ運んだ。
彼女の艶のある髪と濡れた瞳、そして吐息の熱さが、彼の理性をゆっくりと溶かしていった。
「ジェームズ……」
ルーシーは潤んだ瞳で彼を見上げた。彼女が何を望んでいるのか、言葉にしなくても伝わるようだった。
「……いいんだな?」
彼女が小さく頷くと、彼はそのまま顔を近づけた。
二人の間で交わされた初めてのキスは、互いの気持ちを確かめるような優しいものだった。
唇から伝わるぬくもりが、二人の心に火を灯していった。
キスは徐々に深くなり、ジェームズは彼女の服を脱がしていく。
ルーシーの白い肌に、ジェームズは何度も口づけを落とすと、そのたびに彼女の口から甘い声が漏れる。
幼い雰囲気の彼女だったが胸はアンバランスなほど大きく、そのギャップが彼の欲望をかき立てた。
彼女の顔はとろけ、全身から力が抜けていく。
ピンク色の乳首に舌を這わせると、彼女はビクッと体を震わせた。
何度も舌先で転がすと、それはすぐに硬くなっていき、彼女が感じていることを教えてくれた。
そのまま下へ下へと降りていくと、彼女の茂みに触れた。
そこはすでに濡れそぼっていて、彼の指を簡単に受け入れてしまうほどだった。
ルーシーの体は敏感に反応し、腰を浮かせて快感に耐えている。
ジェームズはその反応を楽しむように指を動かし続けた。
そして、ある一点をかすめた時、彼女の体が大きく跳ね上がった。
その反応を見て、ジェームズはニヤリと笑った。
「ここがいいのか?」
ルーシーは羞恥心から顔を背けたが、その姿はかえって彼を煽るだけだった。
彼がそこばかり攻め立てると、彼女は足をバタつかせて快感から逃れようとした。
しかし、彼の腕によってしっかりと押さえつけられてしまい、逃げ場を失った体はどんどん高まっていった。
やがて絶頂を迎えた彼女はぐったりとして動けなくなったが、それでも彼は手を止めなかった。
「まだ終わりじゃないぞ」
そう言うと、彼は再び彼女の体に触れ始めた。
ルーシーの体は敏感に反応し、さらなる快楽を求めて腰を浮かせた。
その淫靡な姿に、ジェームズは再び欲望が高まっていくのを感じた。
涙目になりながら彼女は消えそうな声で尋ねる。
「どうしてこんなに上手なの・・・?」
「スパイは、一度ターゲットと決めたら必ず落とす」
ジェームズはそれだけ言うと、再び深く口づけをした。
ルーシーの吐息を感じながら、彼は自分自身を彼女の秘部に押し当てる。
ゆっくりと侵入していく感覚に、彼女は小さく喘いだ。
「痛いか?」
彼が聞くと、彼女は首を振って答える。
その反応を肯定と捉え、彼はそのまま奥へと進めていった。
根元まで入ったところで動きを止めると、彼女は荒い息をしながら彼を見上げた。
その瞳には期待と不安が入り混じっているようだったが、彼は構わず動き始めた。
最初はゆっくりと、徐々にスピードを上げていく。
ルーシーは必死に彼にしがみつき、激しい快楽に耐えていた。
「あっ……んっ……!」
彼女は声を抑えることも忘れ、ただ快感に身を任せている様子だった。
ジェームズはその反応を見て満足げな笑みを浮かべると、さらに動きを速めた。
結合部から聞こえる水音が激しさを増していき、二人の息遣いも荒くなっていく。
「ルーシー……もう……」
限界が近いことを伝えると、彼女は震える声で答えた。
「……出して、いいよっ」
その言葉に反応するかのように、彼のものが大きく脈打ち始める。
そして次の瞬間、彼は欲望を一気に解き放った。
熱い奔流が彼女の中に流れ込み、同時にルーシーも大きく背中を仰け反らせた。
ドクンドクンという脈動に合わせるように、二人の体が小刻みに震える。
やがてそれが収まると、ジェームズはゆっくりと引き抜いた。
すると、そこから白い液体が流れ出しシーツに染みを作った。
ルーシーは放心状態のまま天井を仰いでいる。
そんな彼女の隣に横になり、ジェームズは優しく頭を撫でた。
ルーシーはしばらくされるがままだったが、やがてゆっくりと彼の方を見た。
その目は潤んでおり、頰はまだ赤く上気していた。
そんな彼を見て、彼女は小さく微笑んだ。
それは今まで見せたことがないような大人びた笑顔で、ジェームズは思わずドキッとしてしまうほどだった。
彼女が何を思っているのか分からなかったが、それでも彼は彼女を抱き寄せずにはいられなかった。
互いの体温を感じながら眠りにつく二人を見守るように、窓からは淡い月明かりが差し込んでいた。
熱い瞬間を共有した後、ジェームズとルーシーは静かな時間を過ごしていた。
ルーシーは、ふとソファに座り込み、窓の外をじっと見つめた。
「なんだか、夢みたいですね。」
彼女の呟きに、ジェームズは背後から声をかけた。
「どうしてそう思う?」
「だって、私みたいな普通の人が、こんな任務に参加して、それに……ジェームズみたいなすごい人と一緒に……。」
彼女の声は少し震えていて、無邪気な笑顔を浮かべていたいつもの彼女とは少し違う。
「ルーシー、お前は普通なんかじゃない。」
ジェームズは彼女の横に腰を下ろし、真剣な眼差しで続けた。
「お前の行動は確かに予測不能だが、それが逆に状況を動かしてくれる。俺が今までの相棒から得られなかったものを、お前からはたくさん学んだ。」
ルーシーは目を丸くし、思わずジェームズを見つめた。
「私がジェームズに何かを教えたんですか?」
「そうだ。そして、それが俺たちの任務を成功させた。」
彼の言葉に、ルーシーの顔には少しずつ笑みが戻ってきた。
しかし、その笑顔の裏には、彼女なりの不安があった。
「でも……いつか私がミスをして、本当に大事なものを台無しにしてしまったらどうしよう。」
彼女の声には、自分の不器用さへの不安と、ジェームズに迷惑をかけたくないという思いが滲んでいた。
「ルーシー。」
ジェームズは彼女の手をそっと取り、その温かさで安心させるように軽く握った。
「俺たちはチームだ。どんな失敗も二人で乗り越えられる。お前がいるからこそ、俺は自分一人ではできないことができるんだ。」
その言葉に、ルーシーは目を潤ませた。
「ジェームズ……ありがとう。」
――翌朝、二人が朝食を楽しんでいると、ジェームズのスマートフォンに上司からの緊急メッセージが届いた。
「新たな任務だ。どうやら昨日のターゲットが、まだ逃げ切ったわけではないらしい。」
「えっ、またですか?」
ルーシーはクロワッサンを口に運びながら驚いた。
「今度は南フランスだ。準備してくれ。」
こうして、二人は再び予測不能な冒険へと向かうことになった。
これまで以上に困難な任務が待ち受けていることを、二人はまだ知らなかった。
しかし、ルーシーの不器用さとジェームズの冷静さが再び奇跡を起こすかもしれない――。
終わり
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